LED懐中電灯は撮影照明に使えるか?

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これからの季節、秋の夜長で星空なども含めて夜の撮影の機会も多くなりますね。最近のデジカメは高感度性能も向上しているので、できるだけストロボなどを使わずに月明りなどの自然の光で撮った方が綺麗に撮れるのですが、星と花を一緒に撮りたい場合などはどうしても光を当てる必要がでてきます。
最近は、撮影用の照明や家庭用照明、懐中電灯などもLED化が進んでいて、LED懐中電灯を持ち歩いておられる方も多いですが、これは撮影用のライトとして代用可能でしょうか?


試しにヒガンバナにLED懐中電灯を当てて撮影(写真上)してみましたが、何だか不自然ですね。赤い花の部分が黒く沈んで、黄緑色の茎の部分がやたらと目立ちます。


上の写真は十数年前に豆電球式の懐中電灯で照らして撮影したものです。左はホワイトバランス昼光色で現像したもので全体に朱色になっていますが、右の様にWBを変更すれば自然な色に調節できます。

このようにLED懐中電灯で赤い花が綺麗に照らされないのは下記のような理由が考えられます。


上の図は、白色LEDのスペクトル(光の色成分)を模式的に表したものです。光を出すLED自体は、可視光の青色LEDで、これを黄色の蛍光体に当てることで黄色の光を励起させています。人間の目では、光の成分を認識できないので、青+黄色であっても全体の平均が白であれば白にしか見えません。
LEDライトがやたらと眩しいわりに照らした対象物(特に赤いものや緑のもの)があまり明るく見えないのはそのためです。自然界にあるものは空の青を除けば、赤や緑のものが多いので、LED懐中電灯を照明代わりに使う場合はその辺りを注意した方が良さそうです。

懐中電灯が、なぜこうなっているかと言えば、この仕組みが一番コストが安く作れるからで、価格の安いLEDライトは、ほとんどの商品がこの方式です。写真やビデオ撮影用に商品化されているLEDライトは、例えば「紫外線LED+R/G/B三種類の蛍光体」を使うなどして「演色性」(色が自然に見える性能)を高めています。

なお、フラッシュやライトを使って撮影する時は周囲の状況に十分配慮しましょう。集落や民家の周辺で強い光を扱うのは避けましょう。また、周囲で他の方が星などの撮影をされていることもあります。星の撮影などでは僅かな光でも写り込んでしまいます。特に天体観測用の赤いライトはカメラ撮影には大敵です。ライトの使用は最小限にして、必要なときは声をかけるなどして確認しましょう。


頭にヘッドライトを付けたままでカメラのセッティングや調整をしていると知らない間に周囲を照らしている可能性があります。ヘッドライトの使用は移動時などに限定し、撮影場所近くでの使用は控えましょう。もちろん光を出すスマホやタブレットの使用も注意が必要です。場所によっては、カメラ背面の赤色LEDランプには黒テープを張り、モニタ画面も暗く調節、布をかけたりするなどの厳重な配慮が必要なこともあります。

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