天の川を観察しよう!(その5)

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天の川を観察しよう!(その4)の続きです。

今回は、光害の軽減とノイズの軽減方法について解説します。今回の画像処理は、デジカメに付属してくるRAW現像ソフトだけでは難しく、写真加工用のアプリソフト(Photoshopなど)や天体写真加工用のアプリソフトなどが必要になります。操作方法もアプリソフトによって異なるので、ここでは原理的な部分のみを記載しておきます。

光害の補正:
前回は、レンズの周辺減光を補正して空全体の明るさを均一にする方法について述べましたが、特に超広角レンズで撮影した場合などは、それだけではなかなか空の明るさが均一にはなりません。これは、光害(街の明かり)や月の明かりなどの影響があるためで、単純に明るさが変化しているだけでなく空の色も大きく変わっているので、特にコントラストを強調したときに不均一性が目立ちやすくなります。補正のやり方は色々ありますが、ここでは簡単にできて画質の劣化が少ない方法について解説します。


先ず、①光害によって明るくなった部分に合わせて暗めに調節したRAW現像を行います。このとき上の例のように画面右下部分では、光害によって空が明るいだけではなく黄緑がかった色になっています。現像時に色温度を「緑→紫」方向に少しスライダーを調節して自然な色合いになるようにします。このとき光害を受けていない画面中央や左上の部分は暗く、やや紫がかった色になります。次に②光害を受けていない部分に合わせて調整したRAW現像を行います。この場合は、右下の光害を受けている部分は明るい星が白飛びしたり、空の色が黄緑色になったりしています。
次に②の画像の上に①の画像をレイヤーで重ねて合成の準備をします。それから①の画像の光害の部分を楕円形の選択ツールで選択します。楕円形にはできるだけ広範囲に「ぼかし」をかけて境界線が目立たないようにしておきます。楕円形の外側のエリアを消去するとそこが透明になりバックに配置した②の画像が見えるわけです。このあとレイヤーの「不透明度」を調整して境目が自然になるようにしておきます。完全に空の色を均一にするのではなく少し光害による明るさの違いを残した方が自然な仕上がりになります。

ノイズの軽減:
天体写真においてノイズの軽減はとても重要で、それだけに色々なテクニックや専用のアプリケーションソフトも出ています。ここでは、代表的な二つの方法について簡単に解説します。
1)ダークフレーム減算
これは、カメラに内蔵されている長秒時露光ノイズ軽減と同じです。デジカメのイメージセンサーには、個々のパーツごとに固有のクセがあって、長い時間露光すると決まった場所のピクセル(ドット)が白や決まった色で飽和したような状態になり、画面上ではノイズになって写り込んでしまいます。これを軽減するためには、撮影した時と同じ気温の条件で撮影したのと同じ時間だけイメージセンサーに通電します。こうして得られた画像(ダークフレーム)と星を撮った画像をレイヤーで重ね合わせ、引き算を行えば良いのです。
カメラの長秒時露光ノイズ軽減をオンにしていると例えば2分間露光した後、2分間カメラが使用できない状態になるのは、カメラが自動的にこのダークフレームを準備しているためです。それだと撮影に不便なので、ダークフレームは自分で取得(レンズキャップを付けた状態で長秒時露光)し、後からパソコンで引き算(撮影した星の画像とダークフレームの2枚をレイヤーをPhotoshopなどの「差の絶対値」で重ね合わせ)すれば良いわけです。


Photoshopの場合だと具体的には、2枚の画像をレイヤーで重ね合わせてから、「通常」と書いてあるボタンをクリックしてメニューから「差の絶対値」を選びます。2枚とも同じイメージセンサーから同じ条件で得られた画像なので固定位置に出るノイズはこれでほぼ消し去ることができます。

2)加算平均コンポジット合成
これは、前述のダークフレームのような固定された場所に出るノイズではなく、ランダムに発生するノイズを軽減する方法です。星の撮影で複数枚の画像を重ね合わせる手法としては「比較・明合成」が有名ですが、「比較・明合成」では、重ね合わせれば重ね合わせるほどノイズが増えてしまいます。一方、加算平均コンポジット合成では、撮影した複数枚の画像をぴったりと重ねたうえで、それらの画像の平均値を得るように合成します。するとランダムなノイズは、多くの画像を重ねるほど平均化されて薄く目立たなくなってしまうわけです。(例えば4枚合成すると画像のS/N比は2倍に改善します。)


複数の画像の中の星がぴったりと重なる必要があるので、基本的には赤道儀などを使った追尾撮影が前提です。追尾していない画像でもパソコン上で移動や回転を行って星の位置を調節して重ね合わせれば一応可能です。また、天体写真の加工専用のアプリソフトでは移動、回転から加算平均コンポジット合成まで自動でやってくれるものもあります。

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