- 2018-7-27
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夏の夜は、南の空に立ち昇る天の川を眺めてみませんか?
星を見るには空気の澄んだ冬、と思われがちですが、天体観測の妨げになる夏場の空気の揺らぎが、実は美しい星の瞬きを生み出しているのだそうです。ところで、七夕と言えば7月7日ですが、新暦と旧暦にはだいたい1か月くらいのズレがあるので、2018年の場合旧暦の7月7日は、新暦の8月17日になります。
7月28日(土)が丁度満月なので一晩中月が出て、来週前半までは星空を見るのには向いていませんが、8月に入ると月が出る時間が少しずつ遅くなってきます。天の川が垂直に立ち昇る午後11時ごろまで見るのなら8月4日以降が良いでしょう。毎年8月中旬に極大を迎えるペルセウス座流星群も一緒に観察したいのなら8月12日夜~13日朝を中心に晴れた日を選ぶと良いでしょう。今年は、8月11日が新月なので、その前後であれば一晩中月明かりに邪魔される心配はありません。
天の川や流星群を見るのに適した場所は、何といっても人工光が少ない暗い場所です。奈良県の場合は、北西の方角、京阪神方面の街明かりが影響するので、東部や南部の山間部が観察場所に適しています。ただ、東、南と言っても三重県や和歌山県の沿岸に近づくと今度は海岸沿いの街明かりや漁船の明かりも入ってくるので要注意です。また、標高が高い方が有利ですが、あまりに見晴らしの良い場所だと麓の街明かりが邪魔なので、むしろ周囲が山や木で囲まれている方が見やすいこともあります。
星の位置を探すには、最近はスマホのアプリなどもありますが、現場でスマホなどの明るい画面を点灯させると他の観察者の迷惑になることもあります。国立天文台のサイトなどで、あらかじめ南の空の木星、火星、土星、といった明るい惑星やアンタレス(さそり座)の位置関係を覚えたりメモしておくとよいでしょう。
下の画像は、国立天文台 > 暦計算室 > 今日のほしぞら より、奈良県から見える8月4日(土)20時、南の空の様子を表示したものです。(c)国立天文台
上の画像で表示されている星はどれも明るいので、実際の南の空を見れば位置関係からすぐにわかると思いますが、特に大接近中の火星とアンタレスは赤さが際立っているので目印としてわかりやすいでしょう。そして、そのアンタレスの左辺りが天の川の中でも一番色が濃くて華やかな場所で、干潟星雲やオメガ星雲などの色とりどりの星雲も集まっています。
そして天の川に沿って頭上を見上げると3つの青い星、デネブ(はくちょう座)、ベガ(こと座)、アルタイル(わし座)からなる夏の大三角形が見られるでしょう。このうちのベガ、アルタイルが、それぞれ七夕の主人公である織姫と牽牛です。なお、ペルセウス座流星群は、どの場所にも流れる可能性があるので、なるべく暗い方向の広い範囲を観察するようにしてください。立ったり座った状態で長い時間空を見上げると首を痛めてしまいますので、シートなどを地面に敷いて寝転んで観察することをおススメします。
星空をデジカメで撮影するためには少しテクニックが必要です。最近はスマホのカメラ機能も向上していますが、星を撮影する場合は、シャッター速度(露光時間)や絞り(Fナンバー)、ピント調節などがマニュアルで設定できることが必要です。できれば、一眼レフかミラーレス一眼、三脚とシャッターリモコンケーブル(リモートレリーズ)などを準備してください。レンズは、天の川全体を写すなら超広角や魚眼レンズ、一部分を写す場合でも広角レンズ(フルサイズ換算で焦点距離35mm以下)がおススメです。F2.8などの数字ができるだけ小さい明るいレンズの方が綺麗に写せます。暗いレンズで星空を撮るときは、ISO感度を上げたり露光時間を長くしたりする必要がありますが、ISO感度を上げるとノイズ(画面上のザラザラ)が多くなり、露光時間を長くすると星が動いている(実際は地球が回っている)ので像が流れてしまいます。
最初は、絞り開放(Fを一番小さく設定)、30秒、ISO800くらいで撮ってみて、明るさや星の流れ具合を見ながら調節していくと良いでしょう。ピントはマニュアルフォーカスモードで、モニター(ライブビュー)を拡大表示にして、明るい星を使って無限遠に合わせておきます。なお、暗い場所では、デジカメのモニター画面は実際よりも明るく感じますが、後でパソコンで見ると撮った写真が真っ暗だったということもあります。ヒストグラム表示などで画面全体の明るさを確認しておいた方が良いでしょう。