高齢ドライバーの事故は少ない!?

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9月20日、21日に奈良市の県文化会館で「産学連携学会」が開かれ、高齢化社会における車の運転をテーマにしたセッションでは、危険な運転をドライバーに伝える研究や中山間地域の公共交通機関として自動運転の車を走らせるアイデアが発表されているそうです。奈良県でも公共交通機関の少ない地域では生活して行く上で運転免許の自主返納も難しく、車の安全装備の普及や自動運転技術の開発も急がれます。

ところで、連日の事故のニュースばかりに気を取られて正しいデータの捉え方ができていない人が多いように思うのですが、下記のような事実をご存知ですか?

1. 高齢ドライバーの事故「率」は高くないという事実
これは、保険関係の業務などに係っている方ならご存じだと思いますが、ドライバーの年齢別の事故率(その年代の免許者10万人当たりの事故件数)と言うのは昔からほとんど変わっておらず、10代(16歳~19歳)が圧倒的に高く、次が20代なのです。
ざくっと言えば、10代>>20代>80代 という順番で、統計的には一見身体能力の高そうな20代の方が高齢ドライバーよりも事故率が高いということがわかります。ちなみに70代の事故率はだいたい平均値くらいです。

2.さらに実際の事故「件数」では、20代、40代、30代の順に多い!?
前述の事故「率」とは別に実際に起こっている事故の数で見ると20代>40代>30代という順番になります。(何と全年齢層の中で80代以上が最も事故件数が少ない!)
これは、そもそも20~40歳の世代のドライバーの絶対数が多く80歳以上のドライバーの絶対数が少ないから当然なのですが、もし、毎日起こっている交通事故が全部報道されるなら、事故を起こしているのは20代~40代のニュースばかりになる筈です。
逆の言い方をすれば、マスコミは「高齢者」の事故ばかりを選択的に流しているわけです。フェイクとまでは言えませんが、マスコミ自身がデータを正しく把握できずにイメージや思い込みで動いているのではないかと疑問に思ってしまいます。

3. 死亡事故率が高いのは10代、80代
ところで事故と言っても大小あるわけで、死亡事故率に限定したデータを見ると確かに80代は10代と同じくらい危険と言えるそうです。ただ、一方、70代の死亡事故率は20代と同等で、60代はむしろ他の年代と比べても死亡事故率が低い部類に入りますので、極端に死亡事故率が高い10代と80代を除くと死亡事故率で見ても高齢者の事故率が特別高いとは言えません。また、高齢ドライバーの絶対数が他の世代よりも少ないことを考えれば実数としても死亡事故件数が多いとは言えないでしょう。

4. 踏み間違いが多いのも実は20代~40代
これも最近ニュースになることが多いアクセルとブレーキの踏み間違い事故というのも今に始まったことではありません。もともと「加速」「減速」という全く逆の操作をどちらも「踏む」という操作で行うヒューマンマシンインタフェースの歴史的な欠陥があったのですが、これがマニュアルミッション→オートマ→電動化という流れの中で事故を起こしやすい方向に向かっていたように思われます。
例えば、マニュアルミッションであれば、アクセルをいっぱいまで踏み込めば、エンジンが大音響をたてるか、エンストするかですが、オートマチック車だとエンストせずに頑張ってしまいますね。オートマ車が燃費重視で惰性で走りがちに設定されていることも普段のペダル踏みかえ操作が頻繁になり、これが踏み間違え事故を誘発していると言われています。また、これがさらにハイブリッドやEVになると操作方法によっては停止状態から音もなくいきなり最大トルクで突っ走ることもありえます。
この踏み間違いを起こす率も、今年6月に実施されたアンケート調査によれば、意外にも高齢ドライバーよりも20代~40代に多いのだそうです。ただ、大きな事故につながるケースは、やはり身体能力の劣っている高齢者に多いと言うデータもあり、これは前述のように音もなく急発進してしまう最近の自動車にも原因の一端があるのでしょう。

いずれにしても昨今若者のドライバーは減少傾向にあって、人口比率としては高齢者が増えてくるわけで、メーカーには高度な自動運転でなくても今の技術でできる事故防止装備の開発を急いでほしいですね。

参考リンク:高齢ドライバーの事故は20代より少ない 意外と知らないデータの真実

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