志賀直哉旧居を尋ねました。

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奈良市高畑町の閑静な住宅地に佇む志賀直哉旧居を尋ねました。
志賀直哉は、生涯で28回も転居を繰り返したことで知られており、その中でもここ奈良市高畑町と広島県尾道市の旧居が有名です。
大正14年(1925年)に京都山科から、かねてからあこがれていた奈良の借家に移った後、昭和3年に自ら設計した邸宅を高畑町に造って移り住んだのだそうです。
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この場所は、鎌倉時代の頃から春日大社の神官たちが住んでいた社家の跡で、春日大社の二の鳥居の横から「下の禰宜道(しものねぎみち)」でつながっています。この下の禰宜道は、現在は「ささやきの小径」とも呼ばれ、歌手さだまさしさんの「まほろば」で「馬酔木(あせび)の森の馬酔木(まよいぎ)に」と歌われたことでも有名になりました。
奈良公園に隣接する住宅地としては、志賀直哉と同じころに武者小路実篤が住んでいた「水門町」(東大寺の西側、依水園や入江泰吉旧居がある)と並ぶ一等地と言えるでしょうね。
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玄関から入ると受付があり順路は2階からとなっています。2階には、尾道時代から手掛けてきた名作「暗夜行路」を完結した書斎と客間があって、客間には谷崎潤一郎から贈られた木造観音菩薩立像の写真が飾ってありました。この観音菩薩立像の実物は、現在、早稲田大学會津八一記念博物館にあるそうです。
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1階には洋風の書斎と茶室などがありますが、廊下を奥に進むと浴室、洗面所、台所などが並んでいて、子供8人や女中さんもいた大所帯の生活をうかがわせます。備え付けの冷蔵庫は、電気式では無くて、氷を入れて冷やす昔のものですね。
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そして、圧巻は、洋式の大テーブルを備えた食堂、そして文人や画家が集い「高畑サロン」と呼ばれたサンルームです。庭には、子供用のプールもあります。玄関から見た外観は数寄屋造りのこじんまりとした日本建築でありながら、中に入るとこの広大な洋風の食堂、サンルーム、娯楽室などが現れるという造りは、当時の人達をさぞ驚かせたことでしょうね。昭和13年に子供の教育なども鑑みて東京に移転するまでの間、ここを拠点に奈良や京都の古文化財のほとんどを見て歩いたのだそうです。
所在地は、奈良市高畑町1237-2(TEL0742-26-6490)、市内循環バス破石町より東へ徒歩約5分です。春日大社の表参道、二の鳥居から「ささやきの小径」経由で徒歩でアクセスすることもできます。
入館料は一般350円(中学生200円、小学生100円)
開館時間:9:30~17:30(冬季12月~2月は16:30まで)、年末年始は休館

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